成年後見人等の職務内容、代理権の制限

1.成年後見人等の職務内容

成年後見人(以下、単に後見人といいます)は、本人の生活、療養看護、財産の管理事務を行うに当たって、本人の意思を尊重し、かつ心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならないとされています。したがって、単に本人の財産を維持し守ることのみを主眼に財産管理を行うのではなく、ましてや家族に遺産を残すために管理するのでもなく、あくまで本人の意思や自己決定権を尊重し、本人の生活を維持し向上させるために財産を活用することが望まれます。

後見人として「どうしたら本人の意に沿う財産管理になるのか」を考え実践することは、責任の重い作業であると同時に、後見人としての見識、価値観が問われる作業でもあります。

以下、後見人の主な業務をご説明します。

 

管理財産の引継ぎ・財産調査・財産目録の作成

後見人に就任後速やかに本人の財産を、本人又は代わって管理していた親族等から引継ぎを受けます。後見人は速やかに財産の調査に着手し、原則として1か月以内に財産目録を作成し裁判所に提出しなければなりません。財産目録の書式は就任時に裁判所から渡されます。

 

本人・親族等との面会

就任後なるべく早い段階で本人に面会し、本人の意向を確認します。また定期的に本人に面会するほか、家族、入所施設の担当職員、ケースワーカーにも会って本人の状況を確認します。

 

金融機関への届出

本人名義の口座を有する金融機関に対し、後見開始のあったことを届け出なければなりません。そのように取引規定で定められています。届出をすると、口座名義は本人の「○山△男」から」「○山△男 成年後見人××」に変更されることが多いですが、本人の名義のままとする金融機関もあります。また届出印鑑は後見人の印鑑に変更になります。

なお、毎月施設の入所費用を支払う必要がある場合など定期的な支出が予定される場合は、後見人用のキャッシュカードの発行を依頼するとよいでしょう。

 

収入の管理

年金収入や賃料収入の管理を行います。預金通帳に定期的に記帳して管理するのが一般です。

 

支出の管理

本人の生活費、医療費等の支出を行います。本人以外の家族の生活費については、配偶者や未成年の子などの分は親族の扶養義務として相当な範囲の支出は認められています。それ以外の親族については具体的な事情に応じて判断せざるを得ません。

 

身上監護の職務

財産管理の職務のほかにも、本人の生活の維持や医療、介護等、身上の保護に関する職務(身上監護)もしなければなりません。具体的には、介護に関する事務(介護保険の認定申請、介護サービスの検討・締結等)、住居の確保に関すること(家賃、税金の支払い、入退所契約)、生活維持に関する事項(公共料金の支払い等)などがあります。

なお、現実の介護行為や身体に対する強制(入院、介護の強制)等の事実行為を行うことは含まれません。

 

裁判所への報告

定期的に(年に1回)、本人の財産状況について家庭裁判所に報告書しなければなりません。

 

2.後見人の代理権の制限

居住用不動産の処分について

本人が住んでいたマンションを売却したり、古くなった自宅を取り壊す場合にはあらかじめ家庭裁判所の許可を得なければなりません。居住環境が変化すると本人の精神面に大きな影響を与えることを考慮したためです。

 

債務負担行為について

雇用契約を結ぶなど、本人自身の行為を目的とする債務を負担する場合には、本人の同意を得なければなりません。